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「可」「不可」だけで、ものごとは判断できない


★ ピーター・ドラッガー(1909〜2005)の名言

オーストリアの経営学者。
現代経営学の分野で名を残し、『マネジメント』などの著書は現在でも多くの経営者から人気がある。

決定のためには、
いろいろな案がなくてはならない。
可・否の二案だけでは不足だ。
決定しないという決定もあることを
忘れないほうがいい



★ オール・オア・ナッシングはやめるべき


世の中には妥協は許さない人、「オール・オア・ナッシング」な価値観の人がいます。そんな極端な考え方をしていると、心が疲れてしまうのではないでしょうか。

ものごとを決めようというとき、最初から選択肢を「可」と「不可」のふたつだけに絞るのは避けましょう。ふたつだけに絞る考え方には、次のような問題点があります。

★ 可能性を狭めてはいけない

@ 第一の問題点は、自らあらゆる成功の可能性を狭めてしまうということ。

たとえば、あなたが「Aの方法を取るか、やめておくべきか」悩んでいる間に、Bの方法、Cの方法と、さまざまな新たな方法が生まれるかもしれません。それなのに、オール・オア・ナッシングの思考にとらわれていると、最初に考えた方法以外の選択肢が見えなくなってしまうのです。

いつ、いかなる場合でも、新しい選択肢が現れる可能性はあります。それに対して柔軟に対応できれば、最初から予定していた以上の成果をあげられるかもしれないのです。

A 第二の問題点は、あまりにも完璧な成功を求めるあまり、考えすぎて動けなくなってしまうということ。

ものの考え方が極端になってしまうと、「1」か「0」かという選択肢しか思い描けなくなってしまいます。でも、そううまくいかないときもあるでしょう。むしろ、何もかもが自分の思い描いたとおりになるということのほうが、珍しいのです。

世の中は何でも、きれいに二極化されているわけではありません。「1」の成功でも、「0」の失敗でもない、微妙な結果が当たり前なのです。

B 第三の問題点は、ものごとのいろいろな側面に気づけなくなってしまうということ。

たとえば、あなたの考える「可」のアイデアには、他人から見ると絶対に相容れない「不可」の側面があるかもしれません。逆にあなたが絶対に避けたい「不可」の状態だと思っていたものが、あなたには予想できなかったプラスの状態が隠れている可能性もあるのです。最初からどちらがよくて、どちらが悪いと考えていては、成果にはたどり着けません。


★ 「そこでは決めない」という選択肢もある

ドラッカーの言葉には、ものごとはたくさんの選択肢があるという真理に加えて、また別の答えを提示しています。それは「決めない」という選択もあるということです。


ものごとを先送りすることに、あまりいい印象を持つ人はいないでしょう。「思い立ったが吉日」ということわざもあるように、ものごとはいち早く行動したほうがうまくいくという考え方は、否定できるものではありません。

ですが、それこそが選択肢を狭めているという考え方です。
すぐに行動するよりもしっかり準備を整えて、後から行動したほうがうまくいくケースもあるのですから。

とくに、日頃から焦って、あるいは慌てて決めたせいで、後悔してしまいがちな人は、この考えを心に刻み込むといいでしょう。





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