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【古歌32】・・古歌に学ぶ生き方



   かばかりの
     ことは浮き世の ならいぞと
       許す心の 果てぞ悲しき




【歌の意味】

これぐらいのことは、皆だれでもやってるから、自分もその程度のことは許されるだろうと暢気にかまえていると、長い人生ではとんでもないことになってしまうぞ、という趣旨です。


自分で自分をかんたんに許すような根性では、大したことはできないよ、という戒めでもあります。
人間社会は、許すか許さないかで、大きくは国の行く末、小さくは人それぞれの人生の行く末が決まってくるものです。

たとえば、大きくは政党の離合集散、小さくは同僚や仲間との離合集散、配偶者との離婚も、いかなる理由があるとしても、誰かが許すか許さないかの決定をしたことが原因で、決まったことです。

その結果、政党の離合集散は国民の幸不幸に関わってきますし、友人や同僚との離合集散は、自分の孤立化に拍車がかかるだけでなく、経済的な損失になって跳ね返ってくることもあり、夫婦の離婚に至っては、一家の繁栄は言うに及ばず、将来に対する希望も失われ、また子供の不幸にもつながりかねません。

私たちの生活で言えば、飲酒、マージャン、ギャンブル、浮気、贅沢、手抜きなどなど、「これぐらいのことは、誰でもやっていることだから、自分も少しぐらいやっても良いだろう」と、自分の心を許し、甘えた気持ちでいますと、だんだんと泥沼の深みにはまって足をとられ、最後は全身泥だらけになって身を持ち崩していきます。

こうならないためにも、しっかりした人生観と揺るぎのない哲学を持って、運勢や運命に立ち向かうしかありません。





古歌に学ぶ
31 見ればただ なんの苦もなき 水鳥の
足はせわしき 浮き世かな
32 かばかりの ことは浮き世の ならいぞと
許す心の 果てぞ悲しき
33 かりそめの 言の葉ぐさに 風立ちて
露のこの身の おきどころなし
34 色と酒 利欲におのが 目がくらみ
うかうかはまる 借金の淵
35 キッパリと 埒(らち)のあきたる 世の中に
埒のあかぬは 迷いなりけり
36 重くとも 我が荷は人に ゆずるまじ
になうにつけて 荷は軽くなる
37 いくたびも 思いさだめて 変わるらむ
頼むまじきは 我が心かな
38 善悪の 人の見る目は ありながら
我が身のうえは ウバタマの闇
39 心から 流れる水を せき止めて
己と淵に 身をしずめけり
40 世の中の 人は知らねど 科(とが)あれば
我が身を責める 我が心かな



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