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【古歌39】・・古歌に学ぶ生き方



   心から
    流れる水を せき止めて
        己と淵に 身をしずめけり


【歌の意味】

心の中からでてくる欲心をせき止めれば、川の深みに落ち込み自滅してしまうという趣旨です。


石川五右衛門は、辞世の句で「石川や 浜の真砂は 尽きるとも 世に盗人の 種は尽きまじ」と歌っていますが、ほんとうに世の中に盗人がいなくならないのと同様に、人間の心に巣くう欲望も絶えることがありません。

人それぞれに欲心は違うでしょうが、名利に心を奪われる人、女性の肉体に心を奪われる人、ギャンブルに心を奪われる人、オカネに心を奪われる人、麻薬に心を奪われる人、みなそれぞれ欲心という魔物の奴隷になっているのです。

人間は、生まれながらに持っている欲心を、ひとつずつ剥ぎ取っていくことが、己の人生の目的であるのに、それを忘れて、年とともに我欲が深まり、欲心がひとつずつ増えているのはどうしたことか。

@ もし、真の自由をを得ようとするなら、心中の奴隷(この場合、欲望)を除くことから始めなければなりません。

A 名利を喜ぶ人は、かならず恨みが多いです。

B 財を失うことの失は小なり、失の最も大なるものは智を失うことである。





古歌に学ぶ
31 見ればただ なんの苦もなき 水鳥の
足はせわしき 浮き世かな
32 かばかりの ことは浮き世の ならいぞと
許す心の 果てぞ悲しき
33 かりそめの 言の葉ぐさに 風立ちて
露のこの身の おきどころなし
34 色と酒 利欲におのが 目がくらみ
うかうかはまる 借金の淵
35 キッパリと 埒(らち)のあきたる 世の中に
埒のあかぬは 迷いなりけり
36 重くとも 我が荷は人に ゆずるまじ
になうにつけて 荷は軽くなる
37 いくたびも 思いさだめて 変わるらむ
頼むまじきは 我が心かな
38 善悪の 人の見る目は ありながら
我が身のうえは ウバタマの闇
39 心から 流れる水を せき止めて
己と淵に 身をしずめけり
40 世の中の 人は知らねど 科(とが)あれば
我が身を責める 我が心かな



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