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【古歌57】・・古歌に学ぶ生き方



   知るとのみ
     思い知りても なによりも
        知られぬものは 己なりけり


【歌の意味】

人間というのは、自分のことは自分が一番が知っていると思っているが、何ひとつ知っていないのが自分ですよという趣旨です。


みなさんは自分のことは自分が一番よく知っていると思っているかもしれませんが、もし、自分のことを一番知っているなら、なぜ、人生に失敗して自殺する人があったり、あるいは、一家離散したりすることがあるでしょうか。

夫婦生活でも、自分を知っていたら、夫婦生活にいつもトラブルを抱えているとか、あるいは中途離婚することがあるでしょうか。

これらのことは、自分とは関係のない世界から来ていると考えているのかもしれませんが、すべて自分の心の中にあることが、現実化して現れているだけですよ。

本当に自分は果たして何者かということを知っていたら、自分の分(ぶん)をわきまえるようになるから失敗することはないのです。

すべては己を知らないから、自分の意地を通すため、自分の人生に苦難が降りかかってくるのです。




古歌に学ぶ
51 こと足れば 足るにもなれて なにくれと
足るがなかにも なお嘆くかな
52 山川の 末に流れる 栃殻(とちから)も
身を捨ててこそ 浮かぶ瀬もあれ
53 道のべの 草にも花は 咲くものを
人のみ徒(あだ)には 生まれやはする
54 身を思う 心ぞ身をば 苦しむる
身を思わねば 身こそ安けれ
55 いまごろに なに驚かん 神武より
二千年来 暮れていく年
56 色黒く 顔の悪しきは 生まれつき
直せば直る 心直せよ
57 知るとのみ 思い知りても なによりも
知られぬものは 己なりけり
58 雨そそぐ 軒の下石 くぼみけり
かたき枝とて 思い捨てめや
59 カネカネと 騒ぐうちにも 年は暮れ
我が身は墓に 入り相(あい)の鉦(かね)
60 もちゃつかぬ 家は餅つく 年の暮れ
もちゃつく家は 餅つかぬなり



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