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世の中は なにもいわずに いよスダレ その善悪は 人に見え透く 【歌の意味】 人は他人に分からないようにいろいろと細工して処世をしていますが、いよスダレのように、そんなことは透けてよく見えるものだ。 昔から「天知る、地知る、己知る」といわれますように、たとえ他人を巧妙に騙したつもりでも、天からは逃げられないし、ましてや地からも逃げられません。 たとえ天地をあざむくことができても、あなた自身が、あなたがやったことを一番よく知っているものだ。 それからは逃れようがありません。 善悪とは何を指して言うのかという疑問もありますが、善悪の基準としては、他人のためを思ってやったことか、自分の利得だけで行ったかということが境目になります。 老子のことばに、「善の善とすべきは、常の善にあらず」というのがあります。 これはあるひとつの行為を指して、その行為が常に善とはいえないということです。 たとえば、胃がんで死にかけている人に対して、あなたは胃がんであるので、あと1、2ヶ月で命の灯が消えますよ、と言ったとしたら、どうでしょう。 この人は、確かに間違って、ウソを言ったわけではありませんので、その言動は正直ではありますが、相手の気持ちを活かしていないですね。 これでは、ことばで相手を殺したのといっしょです。 こんなときは、大した病気ではないので、早く養生して良くなってくださいと、言ってあげれば、その言葉自体はウソではありますが、相手の気持ちを和ませ、明日に希望を持たせることができます。 ですから、ウソも方便で、そのときそのときに応じて、相手を思いやる心を持った言動であれば、たとえウソでも善なのです。 人生なんでも、ひとつの行為を指して善悪を決めてかからないことですね。 |
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