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【古歌73】・・古歌に学ぶ生き方



   年を経て
     浮き世の橋を 見返れば
         さても危うく 渡りけるかな


【歌の意味】

今までの人生を振り返ってみれば、よくぞまあうまく生き延びてきたなあと感慨にふけり、安堵の気持ちに浸っている歌であります。


「もし、あの時に、あの人がいなかったら、今頃、どうなっていただろう」、「もし、あの時の事故で、自分が死んでいたら家族はどうなっていただろう」などと過去を振り返りますと、よくぞ壊れかけた危ない橋を無事に渡ってきたものよと、感慨にふけってしまいます。

なぜ、このように感慨深げに過去に思いを馳せるのかと言えば、人生はちょっとでも油断しますと、いつ落とし穴に落っこちてもおかしくなく、つねに運勢も悪いほうに悪いほうに流されやすい傾向があるからです。

だからこそ、人間は一定の年齢に達すると、過去を自然に振り返るようになって、安堵の気持ちを持ちたくなるのです。




古歌に学ぶ
71 金ほしや 地獄の沙汰も 金しだい
さりとて金では 行かれぬ極楽の道
72 狐より こわきは色と 酒とカネ
大方これに 誑(たぶ)らかされぬはなし
73 年を経て 浮き世の橋を 見返れば
さても危うく 渡りけるかな
74 うかうかと 徒に月日を 送る人
地獄ならでは 行きどころなし
75 田や山に 黄金はいくらも 埋めてある
鍬で掘り出せ 鎌で刈り取れ
76 思うまま ならで逆目に 立つ板は
おのがカンナに 錆があるゆえ
77 立ち寄りて しばしなりとも 習わばや
親に仕うる 人の心を
78 心よく 人ごと言わず 慇懃に
慈悲ある人に 遠慮ある人
79 山人の いつしかつけし 斧のあと
松はそれより 雪折れぞする
80 アイアイの 返事ひとつで 世の中も
人も我が身も まるくおさまる



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