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【古歌10】・・古歌に学ぶ生き方



   すこしずつ
     盃に入る 酒なれど
          家田畑も ついに傾く




【歌の意味】

お酒は呑もうとしても、コップ酒で何倍もというわけにはいかず、少しずつ盃に注ぎながら、差しつ差されつつ呑むものです。
それでも、毎日呑んでいると、長い年月には相当の量になっており、このために家産を傾ける人がいかに多いことでしょうか。


最近では、女性も男性も仕事のストレスのたまることが多く、特に女性は家庭内のストレスでアルコール依存症や覚醒剤の常習者になることもあり、社会問題化しています。

女性は、男性に比べ一般的に体が小さい事、体内の水分率が男性より低い事、女性ホルモンはアルコール代謝を阻害する要因となる事などから、同じ量のアルコールを摂取しても男性の2倍悪影響が出ると言われています。

アルコール依存症患者は、飲酒歴が長期に渡っているのが特徴ですが、女性の場合短期の飲酒歴でかつ飲酒量が比較的少量でも急速にアルコール依存症となってしまう危険があるようです。

それはさておき、昔から酒は「百薬の長、憂いを払う玉箒(たまほうき)」などと言われ、気分転換に役立つだけでなく、血液循環も促進し、確かに健康になにがしかの効用があることは間違いありません。

ただ、何ごとも適度な分量というものがあって、それを過ぎますと、健康増進どころか、最後には家産を傾けて破残の憂き目に逢うのは世の常です。


古文に「甚だ(はなはだ)愛すれば、甚だ多く費ゆ(ついゆ)」とあり、最後は命が費えます。
あるいは、凡人の交わりは甘酒のごとくで、利害で集散することが多いです。

また、男性は、女性を甚だ愛すれば、命を縮めることにもなりかねませんので、性欲、食欲もほどほどに。





古歌に学ぶ
1 世の中を 安々渡れ 古人(ふるひと)の
聖(ひじり)の文を 道のしるべに
2 世は 海よ 身は浮き船よ 心をば
舵とぞ思い 心して漕げ
3 夫には 従うものと 知りながら
夜のみとこそ 思いしぞ憂(う)き
4 女房は 愛するものと 知りながら
昼は粗末に せしぞ愚かや
5 芋を見よ 子に栄えよと 親痩せて
えぐうなったり 甘うなったり
6 苦と楽の 花咲く木々を よく見れば
心の植えし 実の生えしなり
7 井を掘りて あと一尺で 出る水を
掘らずに出ずと 言う人ぞ憂き
8 世の中は 月にむらくも 花に風
思うにわかれ 思わぬに逢う
9 火の車 作る大工は おらねども
己(おの)が作りて 己が乗り行く
10 すこしずつ 盃に入る 酒なれど
家田畑も ついに傾く



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