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【古歌7】・・古歌に学ぶ生き方



   井を掘りて
     あと一尺で 出る水を
       掘らずに出ずと 言う人ぞ憂き




【歌の意味】

努力したせいもあって、成功が目の前に見えているのに、あと一歩の努力を惜しんだために、失敗の憂き目をみること。


最近の新入社員は、ちょっとでも自分の意に染まぬことがあると、カッとして上司とケンカしては会社を辞めるとか、あるいは自分のイメージや理想に合わないと言っては、さっさと辞めてしまう若者が増えているようです。

そしてサッサとフリーターの道を選んでいるようですが、要するに辛抱もできず我慢もできないような人間には、これといった取り柄もなく、最後は後悔の道しか残っていません。

昔は石の上にも三年は我慢せよと教えられてきたものです。

大体、会社に就職して、三日、三月、三年目あたりが一番仕事を辞めたくなる時期で、これを乗り越えたら定年まで何とか勤まるだろうと言われています。

苦労することや勤務することの意味も分からず、人生の醍醐味などさらさら分かろうはずもありません。
この歌のように汗だくの苦労を重ねてこそ、清々しい水は出るものです。

この世を生きるということは、生やさしいものではなく、そんなことでこの味わい深い人生など分かるはずもありません。


人生はよく航海にたとえ、人生航路といわれています。

会社勤務はもとより人間社会での日々の生活の中には、いろいろな苦労が待っており、それを一つ一つ解決しながら、先輩方は生き抜いてこられたのです。
それでも、会社を辞めなかったのは、苦労以上の深い深い喜びが得られたからこそであります。

もっともっと井戸を掘って、清らかな美味しい水を出しましょう。





古歌に学ぶ
1 世の中を 安々渡れ 古人(ふるひと)の
聖(ひじり)の文を 道のしるべに
2 世は 海よ 身は浮き船よ 心をば
舵とぞ思い 心して漕げ
3 夫には 従うものと 知りながら
夜のみとこそ 思いしぞ憂(う)き
4 女房は 愛するものと 知りながら
昼は粗末に せしぞ愚かや
5 芋を見よ 子に栄えよと 親痩せて
えぐうなったり 甘うなったり
6 苦と楽の 花咲く木々を よく見れば
心の植えし 実の生えしなり
7 井を掘りて あと一尺で 出る水を
掘らずに出ずと 言う人ぞ憂き
8 世の中は 月にむらくも 花に風
思うにわかれ 思わぬに逢う
9 火の車 作る大工は おらねども
己(おの)が作りて 己が乗り行く
10 すこしずつ 盃に入る 酒なれど
家田畑も ついに傾く



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