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【禅の言葉】・・自己をならふといふは、自己を忘るるなり


★ 趣旨

自分を学ぶというのは、自分への執着を忘れ自分を超えることだという意味です。




仏道とは、釈迦(釈尊)が説いた教えです。そして、仏道を習得するということは、「自己を習い、学ぶこと」、禅では説かれています。

仏道とは、自分以外のほかのことを習うのではなく、自分を知ることなのです。

簡単に理解するのは難しいかもしれませんが、「自己を習い、学ぶ」とは「自己を忘れること」。この自己を忘れるというのは、忘却するのではなく、「自己にとらわれない、自己を超える」ということです。


たとえば、音楽を聴いているときの自分は「耳」になっている感確保覚えます。また、何かを見ている自分は「眼」になっているかもしれません。そして、手や脚が痛いときは、自分は「手」や「脚」になっているように思えますね。

ですが、それは私たちの錯覚です。
「自分」が何かを行ううえで、「耳」になるわけでも、「眼」になるわけでも、「手」や「脚」になるわけでもないのです。

★ ときには自分を意識しない時間を持ちましょう

道元禅師(1200〜1253)は「自己をならふといあは、自己をわするるなり」と、続いて「自己をわするるといふは、万法(まんぽう)に証せらるるなり」と明確に説いています。

この「万法」とは、一切の現象、森羅万象のことです。

つまり、「自分を忘れるということは、森羅万象、宇宙のすべてのものに支えられていることを知り、人生は自分ひとりの力ではどうすることもできないものだと知ること」だということを諭しています。

だからこそ、「すべてのものに感謝が必要である」といった結論に達するのではないでしょうか。


自分と他者の区切りがなくなったときに、私利私欲などへの執着心がなくなるはずです。

そして、宇宙の法則の中に自分が生かされていることを意識することができることでしょう。
私たちも、そんな自分を必要以上に観察しない、そして振り返らない時間が持てれば、自然とすべてに感謝できる心が生まれるのではないでしょうか。





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