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【古歌86】・・古歌に学ぶ生き方



   アザミ草
    その身の針を 知らずして
         花と思いし 今のいままで




【歌の意味】

アザミ草は可憐な美しい花ですが、トゲがあります。このように人間にも自分で気がつかないようなトゲを持っているものですよという趣旨です。


とかく誰も自分の本性に潜んでいるトゲや針には気がつかず、いかに多くの人に迷惑をかけていることでしょう。
そして、少なくとも自分だけは立派な人間だと思っているところがあります。

中には、自分の本性は知っていると、自慢げに言うイヤなタイプの人もいるでしょうが、そのようなことは、あくまで、良い格好をしたいばかりの外面だけの無知な人間が言うことで、本当に謙虚にわが内心をとくと調べてみたら、自分自身でさえ実際にこんな性格はイヤだっと思うはずですよ。

それが証拠に時々、悪魔が顔を出すではありませんか。
これが本当の本心であり、アザミではありませんが、心についているトゲなのです。

世の中には人間の本質について性善説を説く人がいますが、確かに何ごともない時は性善説を信じても良いでしょうが、実際に自分に火の粉が降りかかってくればそうも言っておられません。

@ 損得に関するもの。遺産の分配や多額の金銭のやり取り

A 嫉妬に関するもの。恋愛のもつれや配偶者の浮気や三角関係など。

B 他からの徹底的な侮蔑、存在の無視、いわれのない中傷など。

常には起こらないこんな問題が突然起こったとき、これら人間の心の奥深くに潜む悪魔的な魂が果たしてどこまで平静でいられるでしょうか。

慎むべきは心です。





古歌に学ぶ
81 世の中は 虎狼も ものならず
人の口こそ なお勝りけり
82 世の中を 四尺九寸に なしにけり
五尺のからだ おきどころなし
83 足元の 道を忘れて 荒岩づたい
谷間奥山 ふみまよいつつ
84 霜を経て 匂わざりせば 百花(ももはな)の
上には立たじ 白菊の花
85 わが心 鏡に映る ものなれば
さこそ姿の 醜(みに)くかるらめ
86 アザミ草 その身の針を 知らずして
花と思いし 今のいままで
87 世の中に 蒔かずに生えし ためしな し
蒔きてぞついに 運や開けん
88 春の夜の 闇はあやなし 梅の花
色こそみえね 香りやはする
89 愚かなる 恣意の炎を 噴きたてて
我と迎うる 火の車かな
90 気もつかず 目には見えねど いつのまにか
埃(ほこり)たまるは 袂(たもと)なりけり



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