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★ 趣旨 風がまばらな竹やぶに吹くと、そのとき竹の葉は風に吹かれて鳴るけれども、過ぎてしまえばもとの静けさに戻るということで、一度の失敗が人生を台なしにすることなど、ありえないという趣旨です。 若いビジネスマンの話などを聞いていますと、「アイツは勝ち組だから」などという言葉を発しています。 また、ビジネス至上主義の現代では、すべての行為に、まるでそうでなければ意味がないかのように「効率のよさ」を重要視する風潮を感じます。でもこれは、本当に正しいことなのでしょうか。業績を上げることに躍起になっている上司に気に入られ、お金さえ儲けることができれば、それが人生の勝ち組などと言えるのでしょうか。 それは間違っているはずです。大自然を観察しますと、山や川、海や空には、お金とは無縁であり、そのくせ、私たちを癒してくれる力があります。 お金や効率を重視して生きている最近の人は、たった一度の失敗による結果にひどく落ち込み、もう二度と取り返しがつかない思いがちです。そして、悔しく、情けないと自分を嘆き、苦しめ、食欲をなくし、睡眠時間も短くなり、ついには体を壊してしまうのです。 さらに、その失敗に対していつまでも自戒の念を引きずり、負のスパイラルに陥り、最後には心まで病んでしまうといった話は、組織に属している人なら、そういう人が身近にいるはずです。心身ともに病んでしまうと、うつ病にまで発展するなどして、なかなか回復できないケースだってあります。 では、そのような人生を送らないようにするためには、どうすればいいのでしょうか。 ★ 自然に生かされている自分を感じることで、何ごとにも動じない人生が送れるはずです 竹薮に一陣の風が吹き抜ければ、竹薮はざわざわと騒ぎ立ちます。ですが、風が通り過ぎてしまえば、またもとの静けさに戻ります。 人生における失敗も、一陣の風。これと同じだと、禅の言葉は諭しています。 長い人生において「風が吹くこと」、つまり失敗は誰にでもあることです。ですが、それは過ぎ去ってしまえば、またもとのとおりになるのが自然の摂理です。 私たちは、森羅万象、自然の中で生かされているのです。ある結果について、それがどのようになろうとも、いつまでもクヨクヨ落ち込んでいようがいまいが、もとの静かな竹薮に戻ることは間違いないのです。 |
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