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【禅の言葉】・・心頭(しんとう)を滅却(めっきゃく)すれば、火も亦(また)涼し


★ 趣旨

心の分別や妄想を断ち切れば、たとえ火でも涼しく感じられるという意味で、自分の心を強く持てば、今の苦しみや悩みなど大したことはないという趣旨です。




1582年、甲斐国(かいのくに)の恵林寺(えりんじ)が織田信長の軍勢に焼き討ちされたときに、快川紹喜(かいせんしょうき)という禅僧が残した辞世の言葉です。

戦国時代を生きた人にふさわしい、壮絶な覚悟が感じられます。
さすがに、現代の日本人がここまで強い覚悟を持って生きるのは難しいかもしれませんが、見習うべきところがあるのではないでしょうか。

あなたにも、目先のことに惑わされてしまい、やるべきことを途中で諦めてしまった経験があるかもしれません。

たとえば、ダイエットのために夜中は甘いものを控えていたのに、テレビ番組でスイーツ特集を観てしまい、我慢できずにお菓子を・・・・というような失敗です。

何かに挑戦していると、さまざまな誘惑に苦しむものです。でも、挑戦に失敗して悔やみ続けるほうが、誘惑をちょっと我慢する以上に苦しいのではありませんか?

自分の心を強く持てば、少しの我慢なんて、問題なく乗り越えられるはずです。

(参考)

中国の後梁(こうりょう)の時代(六世紀)の詩人に杜筍鶴(とじゅんかく)がいますが、その詩の「夏日、悟空上人の院に題す」というのが元の句のようです。

三伏門(さんぷくもん)を閉(とざ)して一衲(いちのう)を披す
兼(か)ねて松竹の房廊(ぼうろう)を蔭(おお)う無し
安禅(あんぜん)は必ずしも山水を須(もち)いず
心中を滅得(めつとく)すれば火も自(おの)ずから涼し

――夏の暑いまっさかりに、悟空上人という方は相変わらず一枚の破れ衣をキチンと身に着けて坐禅をしておられます。しかも炎熱を避ける一株の松も一本の竹もない、まったくの炎天下と同様です。この方を見ていると、坐禅をするのに静かな山中か水辺に居を求める必要はなさそうです。上人のように心頭を滅却し寒熱を超越された方は、暑さに心を煩わずらわされることもなく、炎熱もまた楽しといった様子です――。

この句の下二句を、特に持ちきたったものです。しかし、この語を特に有名にしたのは、山梨県塩山、恵林寺の快川紹喜(かいせんしょうき)禅師であり、『風林火山』で有名な甲斐の武田信玄は、この恵林寺の快川禅師に帰依きえして禅を学んだということです。





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