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★ 趣旨 「足もとを見よ」という意味で、つまり、周囲が突然暗闇に覆われるような突然のハプニングに陥ったときも、慌てずに自分の足もとに目を向け、一歩一歩を確かめて進めば道も開けてくる、という趣旨です。 ある晩、中国の禅僧が、3人の弟子を連れて寺に帰るときのことです。暗い夜道を歩いていると突然一陣の風が吹き、灯りを消され、あたりが真っ暗になってしまいました。 一行は何もできずに立ちすくみます。 そのとき、禅僧は3人の弟子に向かってこう尋ねました。 「暗い夜道を歩くときは灯りが必要となる。でも、その灯りがこのように突然消えてしまった。さぁ、今この暗闇の中でどうすればいいか」と。 すると弟子のひとりは、「暗闇は美しい赤い鳥が大空に舞っているようなものだ」と禅僧に向かっていいました。しかし、禅僧は何も言いませんでした。 次にもうひとりの弟子がいいました。「真っ暗の中のこの道はまるで真っ黒な大蛇が横たわっているようである」と。 禅僧はそれにも、何も答えず、うなずきもしませんでした。 ★ 目の前が真っ暗になったときは、足もとに集中して、一歩ずつ進めばいいのです ここでいう暗闇とは、自分の道の行く末が真っ暗になっているということ。要するに「思いも寄らぬ突然の災難にあって、この先どう切り抜けていけばいいか」という問いです。 突然の火事や交通事故、天変地異などでしょうか。これから先、いったいどうしていいのかわからない。目の前が真っ暗な状態です。 長い人生誰にでも起こりえることですね。そして、3人目の弟子、のちの園悟(えんご)禅師(1566〜1642)が放った言葉、それが「看脚下」だったのです。 真っ暗で危ないのだから、今はつまづかないように足もとによく気をつけて歩かなければならないというわけです。 すると、禅僧は園悟に向かって「そのとおりだ!」と絶賛したそうです。 暗い夜道で起きた灯りが消えてしまうといったハプニング。ここではまず何をすればいいのか。それは、あれことれと余計なことを考えずに足もとだけに神経を集中させていきなさい、ということです。 「自分の現状をよく理解して、これ以上の災難にならないようにだけ神経を使いましょう」と諭しています。 悩みにぶつかってしまったときは、考え込んで不安にならず、現状に対応することだけに集中しましょう。解決の糸口が見つかるはずです。 |
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