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現在の日本は、凄まじいばかりのモノが何でも溢れかえっていますが、これらが諸々の社会悪の根源になっています。 日本の政治家や国民は、戦後一貫して経済至上主義が、人の幸福につながるものだと考え追い求めてきましたが、それによって社会の歪も大きくなってしまい、あらゆる面で問題を抱えるようになりました。 心の問題に起因する深刻な社会問題、たとえば青少年の非行問題、家庭内暴力、麻薬の飲用やアルコール依存症などに象徴される全体的な頽廃化傾向、窃盗、傷害、それに理由なき殺人、もちろん大人社会における離婚の増加などなど、その他諸々のどれ一つを取り上げても、わずかな努力や施策でどうにかなるような簡単なものではありません。 すべての国民の勤勉な努力の結果がこれだったのです。 ★ 『もろもろの欲楽における過ちを見、離欲こそ安穏であると見た故にこそ、我らは優れたものに向かう』・・・古言 この社会では行われているいろいろな人間的な欲望を満たす方法が間違っている堅実をこの目で見、そしてそれらのさまざまな欲望を捨てることこそが本当の人間らしい幸せにつながるということに気がついたので、自分はこれからはもっともっと優れたものに目標を定めて生きていきたいと思う・・・。 ここに古人は切実なまでの自分たちの失敗を披瀝して、清貧生活にこそ本当の人間の幸せがあると指摘し、後世に再び同じような過ちをくりかえすなと警告してくれています。 カネやモノが生きていくうえで極めて大事・大切なものであることは否定できませんが、ベターであってもベストでないことが今、誰の目にも明らかになっているはずです。 私たちのこれからの人生で、真実に生きる方策の根本思想は、ここに原点をおいたものでなければならず、それが聖賢の教えではないでしょうか。 聖賢の教えには二象一態の真理が含まれているから尊いのです。 つまり、「人間の心はいつも自由でありたい」と願っていますが、この自由も行き過ぎますと、他人の気持ちなど配慮せず、自分の幸福のみを追求するような我が儘な自由になってしまいます。 そこで、自由を規制して抑制するような反発作用も心の中に生まれることになります。 そして、「どこまでも自由になりたいという心」と「それを規制し抑制しようとする心」があることで、人間の生活は調和が取れるようになっているのです。 まさに、二象一態の真理に完全にマッチすれば、間違いのない人生を送れるのです。 もし、自由になりたいという心のエネルギーが強く働きますと、人の迷惑かえりみず、自己主義で好き勝手なことをするようになって、社会の役には立たなくなるでしょう。 あるいは、規制し抑制しようとするエネルギーが強くなりすぎると、今度は、何をするにしても進取の気概に乏しく臆病となって人後に堕ちる生活になるでしょう。 だから、二象のエネルギーが強くて調和しているのがいいのです。
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