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★ 『心、万理を包み、万理、一心に具わる。心を存し得る能(あた)わざれば窮め得る能わず、理を窮め得る能わざれば心を存し能わず』・・・王陽明 宇宙の子として生まれた人間の身の内には、すでにこの世の一切の道理が備わっています。しかし、人の世の道理が分からなければ、この雄大な真理を会得することはできないし、この雄大な真理を会得できないようなら、人の世の道理が分かろうはずはない・・。 ここでいう「一切の道理」とは、もちろん心理上でいう真理を指すのですが、私たちの肉体も医学が進めば進むほど極めて合理的な一つひとつの微細なパーツによって構成されたシステムの一大集合体であることが証明されるはずです。 まだまだ分からない点が多数あるにしても、どこを押しても不合理なところは一つもなく、完璧な合理性に裏づけされて成り立っている点は、まさに「万理が一心に具わる」といった王陽明の宣言は裏付けられ正しかったのです。 つまり、地球上の森羅万象の生態系のシステムは、そのまま人体構造上のシステムに合致し共通していて、なんの不整合性も認められないのです。 ★ 『大匠(だいしょう)は拙工のために縄墨(じょうぼく)を改廃せず』・・・孟子 これは昨日や今日、入社した大工の卵や手伝い職人のために、親方が永年の努力と経験で会得した正しい縄の張り方や墨のつけ方、すなわち、家の建て方を、彼ら新入りがやりやすいように改めることはしないとの意で、親方の指図に対してはこちらの一身の都合を忘れ、我とわが身を指図に合わすしか方法はないということです。 たとえば一間四方の家、つまり畳が二枚しか敷けないような狭い家でも、屋台を乗せるのに基礎工事が必要なのは当たり前で、これには、 @ 基礎の幅や高さ、ならびに強度の計算 A グリ石の突き固め B 型枠工事 C 鉄筋工事 D アンカーボルトの取り付け E コンクリートの流し込み などなど、いくつかの不変の手順があり、この手順に従わずして、新入りの彼らのやりやすい方法で家を建てさせるなど親方は絶対にしないのです。 たとえばこれを住む家とかビルの構造に照らして説明すると、 @ まず水道管から引き入れた飲料水を溜め込む受水槽がいる。人間ではエネルギー源となる飲食物がこれに該当します。 A 受水槽から各階へ給水する給水管が必要である。人間では口と食道がこれに該当します。 B 各階に設置されている湯沸し場や洗面所およびトイレ等の給水用器具(カラン)が必要。人間では胃袋に該当します。 C 湯沸し場では流し台、洗面所では洗面台、トイレでは便器等の使用する水の受け皿的役目をする器具が必要。人間では小腸がこれに該当します。 D 流しや洗面台、それにトイレで使われた使用済みの水を排水する排水管とそれに続く下水道が必要です。人間では大腸と肛門がこれに該当します。 以上の設備のどれ一つが欠けても人が住む家や事務所としてのビルが機能しないのと同じで、人間にも栄養の補給源としての各種の飲食物が第一番に必要であるとともに、以下、これを順にこなして血とし肉とする消化器のどれもが本来あるべき姿として健全でなければ、一日として円滑な人間生活は営めないのです。
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